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クレイアニメやパペットアニメなどのいわゆるアートアニメ作品を綴っていきます。そのほか、テレビやDVDで見た少し変わったアニメーションなど。


by quaybrothers
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カクレンボOVA

カクレンボ「クリエイター集団「神風動画」の主力であった森田修平と桟敷大祐による映像製作ユニット・YAMATOWORKSによるホラーアニメ」とのこと。約30分の2Dデジタルアニメーション作品。
このDVDを知るまで「神風動画」という集団を知りませんでしたが、作品一覧を見るとゲームやビデオクリップ向けにアニメーションを提供する映像クリエイターという理解でよいのでしょうか。その作品に対する評価も高いようですね。

そんなところで腕を磨いていた人たちの作品ですから、まず美術は流麗、音楽面を含めた技術的な完成度は高いように思いました。個人製作に近い映像作品には見えなかった。ただ、ストーリー的な面で少々「薄い」感じが拭えず、作品自体の力が弱まったように感じました。
ノルシュテイン翁が見たら、「もっと本を読みなさい」と怒ってしまうかもしれない、そんな感じ。

ストーリーとしては、九龍城を思わせる入り組んだ街に、神隠しにあった妹を捜す主人公のほか、何人かの子どもがオトコヨ(お常夜)様のお遊戯「カクレンボ」に参加する、というもの。

不満を言えば、
(1) 暗くなってからかくれんぼをすると神隠しに遭うという俗信と、かくれんぼで隠れた子どもを探す役回りを「オニ」と呼ぶことから、ストレートに着想した(であろう)世界観
(2) カクレンボの中味は、オニが子どもたちを一方的に追い回すだけで、かくれんぼというよりも鬼ごっこ
(3) 30分の短編にしては登場人物が多く、その背景(なぜカクレンボに参加したのか)を全く描き切れていない
(4) カクレンボでオニに捕まった子どもたちの最期が、マトリックスに影響を受けすぎ

秀逸な点を言えば、
(1) ストーリーは、3グループに分かれた子どもたちが体験するカクレンボを同時並行的に描いており、短いシーンを積み重ねて状況を説明するカメラワークは分かりやすく効果的
(2) 最後に残った主人公がオニと対峙して明らかになるオチは、自分の拠り所のコペルニクス的転換が発現されて、個人的にはなかなか怖かった

いろいろあげつらってしまいましたが、作品としては平均点以上という評価です。
アニメOVAのDVDとしては安い部類に入りますので、変わったアニメが好きという物好きな人は買ってみてもよいのではないかと。
贅沢を言えば、世界観をもう少し練って、脚本をもう少し整理して、90分くらいの作品になったらちょうど良いのではないかと思いました。

公式サイトで予告編を視聴できますので、まずはそちらから観てみては。

カクレンボ公式サイト
by quaybrothers | 2005-09-15 22:32 | DVD